石松金毘羅代参（あらすじ） 秋葉路や 花橘も茶の香り 流れも清き太田川 若鮎踊る頃となり 松の緑の色も冴え 遠州森町よい茶の出どこ 娘やりたやお茶摘みに ここは名代の火伏せの神 秋葉神社の参道に 産声あげし快男児 昭和の御代まで名を残す 遠州森の石松を 不弁乍らも勤めます 次郎長が 代官と久六を斬った刀を 讃岐の金毘羅様に納めに行くことを 石松に頼む すぐに行ってきます という石松に 待て発つのは明日でいい それから 次郎長が頭を下げて頼むのは お前は酒癖が悪いから 旅の間は一滴の酒も飲んでくれるな　石松は「わかりました つとまらねえから断ります」と断る 次郎長「俺がこんなに頼んでもいやか 次郎長には六百何十人子分がいるが 俺の言う事を嫌だと言うのは お前一人だ 生かしておいたら ためにならねえ 覚悟しろ」と言えば 石松「わっしゃあ あんたに惚れて子分に なったんだ さあっ 斬っておくんねえ」 強情張り同士が喧嘩して面白いってんで 隣の部屋から大政小政が 隠れて見てるが 止め手がねえんで 困ってるだろうと大政が仲介に入る 石松を呼びつけて「嘘も方便て 言葉を知らねえか こっそり飲んだっていいんだ」よと説教をする 翌日清水を発って 真っ直ぐ金毘羅様へ 無事に刀を納めて 四国を出て大阪見物 大阪の八軒屋から 伏見へ渡す渡し船に乗り込んだ 畳一畳ばかり買いきって 大阪本町橋の名物押し鮨を食べながら 一杯飲む 乗合衆が大声で喋る話を面白く聞いていた