水師営の会見
			作詞：佐佐木信綱　　作曲：岡野貞一
1	旅順開城約成りて	2	庭に一本棗の木	3	乃木将軍は厳かに
	敵の将軍ステッセル		弾丸跡も著るく		御恵み深き大君の
	乃木大将と会見の		崩れ残れる民屋に		大詔伝うれば
	所はいづこ水師営		今ぞ相見る二将軍		彼畏みて謝し奉
4	昨日の敵は今日の友	5	形正して言ひ出でぬ	6	「二人の我が子それぞれに
	語る言葉も打ち解けて		「この方面の戦闘に		死所を得たるを喜べり
	我は讃へつ彼の防備		二子を失ひ給ひつる		これぞ武門の面目」と
	彼は讃へつ我が武勇		閣下の心いかにぞ」と		大将答へ力あり
7	両将昼餉共にして	8	「厚意謝するに余りあり	9	「さらば」と握手懇ろに
	なほも尽きせぬ物語		軍の掟に従ひて		別れて行くや右左
	「我に愛する良馬あり		他日我が手に受領せば		砲音絶えし砲台に
	今日の記念に献ずべし」		長く労わり養はん」		ひらめき立てり日の御旗